2007年 08月 10日
澤登翠一門会『世界の心』
京の敵を江戸、いや駿河あたりで討つほどに流れてしまいましたが、去る7月30日、澤登翠一門会『世界の心』を鑑賞してきました。

第1部は、澤登さんの前時代的な大げさな芝居もユニークな、活弁の歴史講釈。
片岡さんの活弁レコードコレクションから名調子抜粋もあり、劇場や地域による口調の違いを楽しみます。
私の好みは、あまり芝居がかっていない七五調、あるいはそれに近いものかな。
さみだれのように一節の長い語りは、自分の呼吸と合わないと調子も合わず、右の耳から左の耳へと抜け流れてしまいますので。

第2部は、グリフィスの『世界の心』リレー活弁。
1番手は、言葉の端々に小ネタを盛り込む片岡さん。
やっぱり小ネタで笑わせますが、作品の導入部は結構コミカルなので妙にマッチしています。
解説でも活弁でも、息継ぎの間を長くとってしまうクセがあるのか、一節の最後に息苦しさを感じることがありますね。
観ているこちらも呼吸のタイミングがずれてしまうので、ちょっと残念なところ。

2番手は桜井さんだったかな。
確か斎藤さんが物語の区切りをつとめたと思うので、桜井さんだと思う…。
こりゃ脳みそがカビとるな。
『眠るパリ』が説明調だったのでどうなるかなと思ったのですが、本作ではオヤジの台詞もなかなか見事な活弁。
ちょっと無機的で、滑舌が良く張りのある声は、私の耳にはどうしてもアナウンサー口調として入ってきますが、このあたりは先入観の問題。
ですが、どうしてもスクリーンの脇で語っているというイメージは払拭できません。

3番手は斎藤さん…のはず…、間違っていたらごめんなさい。
斎藤さんと澤登師匠の調子は何度か記しているので割愛するとして、本作で斎藤さんのはまり役は、ドロシー・ギッシュ。
役名もずばり「お転婆娘」のドロシーと斎藤さん、おきゃんというかはすっぱなところが、何とも似通っています。
いずれ、ドロシー・ギッシュの作品を存分に演じて欲しいですね。
そして、言葉少なにじっくりと間をとった、戦争へのカウントダウン。
いやがおうにも、不安を駆り立てられました。

トリをつとめるのは澤登師匠。
本作は大戦へのアメリカ参戦を促すプロパガンダであるため、実戦のさなかに撮影するといった強烈なカットの見え隠れする終盤。
それもあってか、いたずらに悲劇を強調することなく、ひたすらに重厚な弁を振るう澤登師匠。
それがかえって、救出物に長けたグリフィスの作品だとわかっていながらも、実は助からないんじゃないかとドキドキしてしまいます。
締め括りは、ハッピーエンドへの安堵ではなく、手短ながら重みのある戦争非難。
本作誕生の意図をひっくり返すことが出来るのも、弁士の担うところであると感じた次第です。

※訂正
リレー活弁の順番、正しくは2番手斎藤さん、3番手桜井さんでした。
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by cthulhu_dune | 2007-08-10 17:17 | 映画・映像


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