2008年 01月 19日
活弁 IN 楽士会座 『椿姫』
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楽士は歌う

春日に燃え上がる純愛の歌を

弁士は詩う

白雪に燃え尽きる薄命の詩を
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活弁 IN 楽士会座 『椿姫』
2008年1月18日(金) 学士会館に於いて
1921年、アメリカ作品

実は私、『椿姫』そのものの話を知るのは、今回が初めて。
貴族的な椿姫が歌うオペラのワンシーンの印象しかなかったので、悲恋の話だとは思ってもいませんでした。

身分や社会的立場から引き裂かれる愛というのは、かなりポピュラーな展開ですが、本作ではその骨格となる部分のみが、おそらく必要最小限に描かれています。
椿姫ことマルグリットと貧学生アルマンの純愛を、やたらと飾り立てたり、むやみに貶めたりしていないので、決して荒唐無稽になることもなく、観ていて鼻白むこともありません。
マルグリットの命か消えゆく、長い長いラストシーンですら、一縷の望みに手に汗を握ってしまいます。
その間の弁士・澤登師匠の一言一句の、飾り気のない華やかさと清らかさ。
幻想と怪奇にまみれた私ですら、深々と心に響き渡ることしきり。

カラードモノトーンの劇伴も叙情的で、特に静かなシーンでの、さざ波のようにささやくような楽曲には、思わず身を乗り出してしまいます。
詩的な活弁と相まって、サイレント『椿姫』が歌劇になったような雰囲気に感じられました。
ところで、ピアノの音色がちょっとチェンバロっぽく思えたんですが、そういうピアノだったのかな。

また、この1921年版のもう一つの見所は、ちょっと前衛的でアール・デコ風のセット。
オペラ座の階段脇、緩やかな曲線で作られた壁とドアから、すべてが円で構成されたマルグリットの部屋まで、古めかしくもあり、斬新でもありました。
また、マルグリットの部屋は『椿』をデフォルメした形状が多用されていましたが、澤登師匠曰く「あの円のすべてが椿なんでしょう」というのもうなずけます。
ホラーとは無縁の本作ですけど、このセットを見ただけでも、何か起こりそうな予感がしますね。

月末の無声映画鑑賞会が仕事でいけなくなってしまったので、だったらと前日の午後に思い立って足を運んでみたのですが、これは行っておいて良かった~。
次回の学士会館公演は、『ニーベルンゲン』の第一部『ジークフリート』。
これは観ずして何を観る!、
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by cthulhu_dune | 2008-01-19 09:38 | 映画・映像


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