2008年 03月 11日
『ニーベルンゲン』第一部、『ジークフリート』 3月6日、学士会館に於いて、弁士・澤登翠、楽士・柳下美恵 破天荒な英雄ジークフリート、無垢な姫君クリームヒルト、矮小な王グンター、尊大な女王ブリュンヒルト、老獪な将軍ハーゲン。 それぞれの思惑と運命が絡み合う、破滅への一大叙事詩。 不覚! ラングの描いた本作は、よく知られたドラゴンに代表されるおとぎ話である以上に、実は惨憺たる運命が描かれた破滅の物語なのである。 そして、この映画でその力を遺憾なく発揮しているのは、物語でも特殊効果でのなく、純然たる映像なのである。 それとわかっていたにもかかわらず、不覚! フィルムが巻き進められるにつれ、柳下美恵嬢のピアノも、澤登翠師の活弁も、この映像の中に融け込み吸収されてゆき、いつしか私の頭の中では映像の一部と化してしまう。 ふと我に返ったときには、劇伴はどうだ、活弁はどうだ、などと考えている余地すらなかったことに気づき、愕然とする始末。 『ジークフリート』、恐るべし。 もっとも、全くの無音でこれほどまでに魅了されるかといえば、まずあり得ないだろう。 おそらく、半時とたたないうちに睡魔に流されてしまうに違いない。 とか何とかいいつつ、今回の見所というか聞き所は、柳下美恵嬢の劇伴。 ゴットフリート・フッペルツのオリジナルスコアを、上映されるフィルムに合わせてアレンジしたもので、全編にわたって重量感たっぷりなもの。 余談ながら、ジークフリート対ドラゴンの戦いは、本作のみで語るならば全く持って理不尽なもの。 どう見ても水辺でぼんやりとひなたぼっこをしていたドラゴンを、一方的に退治するものと決めつけているとしか思えない。 この理不尽さが、ジークフリートの破滅への序曲に他ならないのではあるのだが…。 ドラゴンの造形と動きの見事さの陰で、ジークフリートはひでぇヤツだとこっそりと憤っていたりするのは内緒だ(笑)
by cthulhu_dune
| 2008-03-11 23:33
| 映画・映像
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